伊坂幸太郎の「魔王」をちょうど総選挙のさなかに読んだ。

この本は、表題「魔王」とそれに連なる「呼吸」という二つの作品で構成されている。
ファシズム、ポピュリズム、そして今まさに課題となっている、米国と中国、日本の立ち位置、そして憲法改正と、そのなかで、圧倒的に強い決意と覚悟をもった独裁者が現れたとき、わたしたちの振る舞いはどのようになるのか。

日本国民は飽きやすい、一回目は喧々諤々と議論するが、二回目は容認してしまう傾向がある。
憲法改正も、一回目は大衆が容認しやすいような文言で提起しておいて、時をおいて二回目がそもそもの改定の主旨であっても、国民は、一回目では多くの議論を時間をかけて行ったので、二回目はそれほど時間をかけずに容認してしまう。
たしかに思い当たる節はあると思う。
この本を読んで空恐ろしくなった。

たまたま衆院選の時期に読んだので、このあたりのインパクトが強かったのだが、小説は、やさしい兄弟を通しての物語となっていて、読後感が良い小説だった。

なぜ、今になってこんな読後感を書いたのか、民主党政権が誕生し、大臣がマニフェストを拠り所にして、私見を含め勝手なことを始めたとの印象がぬぐえないからだ。
国民は、政権交代を望んだのであって、マニフェストに賛成したわけではない、改めて政策を国民に問うて欲しい。
民主党の圧倒的議席によるファシズムの台頭が懸念される。