本屋大賞や映画で話題になっていたのだが、なかなか手に取ることがなかった湊かなえ著「告白」が文庫化されていたので読んでみた。
予備知識が全くなかったので、第一章の聖職者を読んで、なんだこれは短編なんだと誤解してしまった。
その先を読んでいくと、一つの事件が、先生から旧友、犯人、犯人の家族へと立場を変えて語らせている。
そこから見えてくるものが、立場によって違ってくる。自己顕示欲であったり自分中心であったり、それは、わが子を殺された教師も同じだった。
この作家の文章力は高いのかもしれない、ストレスなく一気に読んでしまった。
ただ、読後感が爽やかかというと決してそんなことはない。
今の世相を考えると、この小説のようなことが、どこで起きてもおかしくないと思う恐ろしさが残った。