気楽に行こうよ ♪

「中年ジョガーの四方山記」、「鷲宮弦代JC」と綴ってきたブログ、またお引越し、古希を過ぎ、一生懸命というほどの根性もなく、なるがままに・・・。

本と雑誌

魔王

 伊坂幸太郎の「魔王」をちょうど総選挙のさなかに読んだ。

この本は、表題「魔王」とそれに連なる「呼吸」という二つの作品で構成されている。
ファシズム、ポピュリズム、そして今まさに課題となっている、米国と中国、日本の立ち位置、そして憲法改正と、そのなかで、圧倒的に強い決意と覚悟をもった独裁者が現れたとき、わたしたちの振る舞いはどのようになるのか。

日本国民は飽きやすい、一回目は喧々諤々と議論するが、二回目は容認してしまう傾向がある。
憲法改正も、一回目は大衆が容認しやすいような文言で提起しておいて、時をおいて二回目がそもそもの改定の主旨であっても、国民は、一回目では多くの議論を時間をかけて行ったので、二回目はそれほど時間をかけずに容認してしまう。
たしかに思い当たる節はあると思う。
この本を読んで空恐ろしくなった。

たまたま衆院選の時期に読んだので、このあたりのインパクトが強かったのだが、小説は、やさしい兄弟を通しての物語となっていて、読後感が良い小説だった。

なぜ、今になってこんな読後感を書いたのか、民主党政権が誕生し、大臣がマニフェストを拠り所にして、私見を含め勝手なことを始めたとの印象がぬぐえないからだ。
国民は、政権交代を望んだのであって、マニフェストに賛成したわけではない、改めて政策を国民に問うて欲しい。
民主党の圧倒的議席によるファシズムの台頭が懸念される。

空飛ぶタイヤ

 久々に面白い長編小説を読んだ。 池井戸潤の小説は初めてなのだが、大当たり、この「空飛ぶタイヤ」は興味深く大変面白かった。 3e8bc6ae.jpg
財閥企業グループの自動車会社、そう何年前になるのか、リコール隠しで話題になったあの会社を彷彿させる設定。 重工や銀行を巻き込み、コンプライアンスなんてなんのそのという展開の中で、中小企業の経営者が何度となく挫けそうな中、歯を食いしばって経営していく、フィクションなのだが、そうなんだと妙に納得してしまった。 最後はハッピーエンドなので読後感も満足、ストレス解消には良い小説ですし、人間模様はなかなか考えさせられるものがありました。

誘拐

 五十嵐貴久の「誘拐」を読んだ。 Yuukai この作家の本は何冊か読んだが、いつも思うのは映像化を意識しているということ。 この「誘拐」もそうだった、もちろん面白い、一気に読んでしまう、途中、これはオカシイという箇所は、後半しっかりと説明がされていて矛盾点はそう多くない。 でも、そもそも、犯行を計画した者が、そんな理由でそこまでするかという疑問は残る。 まぁ、しかし、いろいろと悩みごとが多い時には、こんな本がすっきりする。

屋上ミサイル

 今年の「このミステリーがすごい!」大賞受賞作が、この「屋上ミサイル」。 Okujo この本は、毎晩寝る前に読んだ。 ミステリーというと、だいたい、先へ先へと読み進んでいくのだが、数ページ読むと何故か眠たくなり寝てしまったことが何回かあった。 高校の屋上部という設定は面白いし、主人公たちのキャラクターも良い、だが、ミステリーとは言い難い。 本の巻末に大賞選考の評が載っているのだが、選者によって評価が全く違っている。 最高か最低なのだ、自分の評価はやはり後者かな。

遊戯

藤原伊織の遺作となったのが、この本「遊戯」だ。 この作家の著作は全部読んでいる、なにしろ寡作なのだ。 物語の設定がいずれも好きだし、文章力が素晴らしい、行間を読むというのがたまらない。 ただ、この「遊戯」は、完結していない。 短編連作なので、ワクワクドキドキ、次はどのような展開と思わせながら、次に進んでいくのだが、残念ながら、癌で亡くなられた。 ことの顛末はどうなるのか、知りたいが、もう読むことができない。 Yugi

劒岳<点の記>

Ten「点の記」とは、新田次郎「劒岳<点の記>(文春文庫)」に次のように記述されている。
「点の記とは三角点設定の記録である。一等三角点の記、二等三角点の記、三等三角点の記の三種類がある。三角点標石埋定の年月日及び人名、覘標 (てんぴょう:測量用やぐら)建設の年月日及び人名、測量観測の年月日及び人名の他、その三角点に至る道順、人夫賃、宿泊設備、飲料水等の必要事項を収録 したものであり、明治二十一年以来の記録は永久保存資料として国土地理院に保管されている。」
 
間もなく映画が公開されるということで、この「剣岳<点の記>」を読んでみた。
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わたしも測量師の端くれだが、あまりにも知らないことが多く、また地図を作るということが如何に困難なことかを改めて感じた。
小説は、陸地測量部の柴崎芳太郎が、明治40年に、未踏の山、剣岳に三角点を設置するまでの過程が書かれているのだが、山を熟知している新田次郎が執筆しているので読んでいて臨場感がよく伝わってくる。
わたしも昭和48年(1973年)9月に、この剣岳に登ったことがある。もちろん、カニノヨコバイなど極めて危険な個所もあるが、すでにc92fb51b.jpg
登山道として確立していたので、三角点設置の時のように道なき道という訳ではなかった。
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(古い写真を見つけたので、スキャニングして数枚をここに貼り出してみる。ぜひ、クリックして拡大して見て欲しい。)
明治時代という、今では考えられないような劣悪な条件と装備のなかで剣岳を始めとして立山連峰に次々に三角点を設置していったことは今でも信じられない。
先人の知恵と勇気に触れる、土木技術者のみならずとも楽しめる小説であり、まだ公開されていないが、リアルにこだわったという映画もぜひ観てみたいと思う。
 
ここに剣岳の「三等三角点の記」がある。
平成16年8月にGPS新設測量したものだが、選点者は、柴崎芳太郎となっている。

神様がくれた指

 「しゃべれどもしゃべれども」「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子が気に入って、今度、読んだのは「神様がくれた指」だった。

Kami 物語は、出所したばかりのスリとタロット占いの男(女)の偶然の出会いを軸に、さまざまな人々の行動から偶然から必然へと物語は進んでいく、特に後半はハラハラドキドキの展開になる。
読んだ作品を通じて言えるのが、この作者の人の描写が何とも言えなく良いのだ。
作家の想像力もさることながら、それを細やかに描写する技を改めて凄いと思った。

水の城

 つい先日、「のぼうの城」を読み終えたのだが、その舞台となったのが現在の埼玉県行田市、さきたま古墳と古代蓮で有名な地となっている。
Mizu 戦国時代、石田三成がこの行田の忍(おし)城を大軍で攻め落とそうとするが、わずかな軍勢でこれを阻止する。そして最後の戦略とは、利根川と荒川を結ぶ土手を作り、荒川を氾濫させて水攻めにする、そしてこれをまた阻止するというもので史実とフィクションの絶妙のバランスで非常に面白かった。

そこで、同じ舞台設定の「水の城」を今度は読んで見た。
こちらの方は、町人や百姓のキャラクタが生かされていてその活躍まで描かれており、なお且つ、主人公の成田長規が「のぼうの城」では、誰からも愛されるキャラクタとなっているのが、この小説では、どこにでもいる凡庸とした人物として描かれていた。

どちらが面白いかではなく、同じような舞台設定の中で、作者の想像力というものが試されたような読後感があって、そういう意味ではどちらも面白かった。

一瞬の風になれ

 つい先日読んだ「しゃべれども しゃべれども」の佐藤多佳子が、2007年本屋大賞を取った「一瞬の風になれ」を読み終えた。
Kaze 本屋大賞は、全国の書店員が一番売りたい本として選ぶもので、この本は吉川英治文学新人賞もとっている。3部作からなり結構なボリュームだったが、賞を取ったぐらいだから、やはり面白く一気に読んでしまった。
高校の陸上部が舞台なっており、サッカーで燃焼できなかった主人公が、スプリンターの才がある親友と、紆余曲折しながら100mを競い、4継(400mリーレー)で連帯し、県予選、インターハイと目指すストーリーになっている。
青春小説ぽいが、中年が読んでも十分に面白い、しかも、この作家なに者だというくらい、スプリントやリーレーの技術論を分かり易く文章にちりばめ、そしてレース前の心のさざ波などを妙に押さえている。
100mという短い距離でも、いろいろなレース展開があるし、リーレーバトンなどは、駅伝のタスキを繋ぐのとはまた違って、心も技術も大きな連帯が占めているのが改めて分かる。

萩往還から2週間ほど走っていないのだが、明日にでも思いっきり走りたくなってきた。

のぼうの城

2009年本屋大賞2位になった「のぼうの城」を読んだ。

Nn 時代小説あるいは歴史小説は、何となく分かりづらく抵抗があり、今までほとんど読んだことがないのだが、先日たまたま手にした「憑神」(浅田次郎)が思いのほか面白く読めたので、最近話題のこの「のぼうの城」も読んでみた。
読み始めて驚いた、物語の舞台は、武州、今の埼玉県行田市にあった忍城が舞台になっている、そう、先月伴走ボランティアをした鉄剣マラソンのコースが、まさにその場所にあたっている。

石田三成配下の軍勢が攻め入る中、わずかな数で城を防御する、しかもその城代は、でくのぼうを短縮して「のぼうさま」と農民から呼ばれている、その攻防は実話で、城を守り切ったのだが、一気に読んでしまった。
違う作家でも書かれているようで、そちらも読んでみたいと思う。

町長選挙

 奥田英朗の小説「町長選挙」を読んだ。
わたしの好きな直木賞受賞作の「空中ブランコ」や「イン・ザ・プール」でおなじみの主人公、神経科医の伊良部一郎が活躍?する短編集で、「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」がこの文庫本に収録されている。
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4年ほど前に書かれた「オーナー」は、プロ野球10球団に統合などの事件があった当時のナベツネを想像させるし、「アンポンマン」はホリエモンを思い出す。
もちろん表題作の「町長選挙」といい、とても医学部には入れそうもないし、医学博士なんてもってのほかの感じの伊良部と看護婦マユミのコンビの破天荒な行動は、その行動形態の根拠がどこにあるのかさっぱり理解できなく読むものを驚かす。
こんな医者がいるわけないと思いながらも、何のしがらみも感じず、素直?な行動を繰り返す伊良部に憧れをもつ自分がいるのがおかしい。

ルパンの消息

 この小説は、社会派ミステリーとして私が好きな作家のひとり、横山秀夫がデビューする前に書いたもので、サントリーミステリー大賞の佳作になったものの未刊行だった作品だそうだ。
Yokoyama_2 最近、改稿して出版されたのでさっそく読んでみた。
24時間後に時効を迎える事件の今の取り調べと15年前の事件に至る経緯が対比され、なおかつ3億円事件まででてくる。
今の横山秀夫とはタッチが違うが、15年前の高校時代の描写がなかなか良くて最後の落ちも、あ!そうだったんだと心地よい読後感だった。

夜のピクニック

 今日は日帰りで金沢出張だった。
朝の出かけに、今日は朝刊の休刊日、車内で何か読む本をと手に取ったのが、だいぶ前に子供が買っていた「夜のピクニック」だった。
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タイトルの意味はさっぱり分からなかったのだが、2005年の本屋大賞を受賞しているし、吉川英治文学新人賞も受賞しているので、そんなに外れはないだろうと読み始めた。
読むほどに面白くなってきた、これは簡単にいってしまうと青春小説なのか。
でも、自分がもうはるか昔に置いてきてしまった何かを思い出させてくれるような気がした。
日頃は、読む本と言えば推理小説やミステリーばかりで、久々に自分を振り返るような読後感があった。
そう結構なボリュームの本だったのだが、一日で一気に読んでしまった。

笑う警官

 今秋、映画になると聞いて思わず手にとってみたのが「笑う警官(佐々木譲)」だった。
この作家の本は読んだことがなかったのだが、この本を読んで面白いので立て続けに「検察庁から来た男」「制服捜査」と読んでしまった。

舞台はいずれも北海道、いずれも多少破天荒な個所もあるが、それがむしろ映画向きともいえる。一気に読んで、さて、映画ではどうなるのかと想いを馳せている。

http://www.toei.co.jp/movie/details/1175408_951.html

望郷の道

 日経朝刊の連載小説「望郷の道」が、409回目の今日終わった。
前々回の渡辺淳一「愛の流刑地」は、色恋のことが中心で、満員電車の中で朝刊を読んで、一日のテンションを上げていく自分には全くあわず、前回のチンギ ス・ハンを描いた堺屋太一の「世界を創った男」は、作者が嫌いという先入観もあり、また登場人物の多さ、カタカナ名の多さで読みずらくてしょうがなかっ た。

この「望郷の道」は、北方謙三が自らの曾祖父のことを書いたもので実話となっている。主人公は、福岡で水運業をやっている家の三男「小添正太」と 佐賀で賭場をやっている「藤るい」の波乱万丈の物語になっている。北方謙三の本は、なんとなく敬遠していて一冊も読んだことはなかったのだが、この小説は とても面白かった。

男にも女にもそれぞれの品格があって、それをわきまえた世界があった。侵してはならない領分があって、それが暗黙知となっている。今の世の中、平気な顔して土足で人の心を踏みにじっていく普通の人が多すぎる、そんなことを改めて感じた。

そうそう、この小説に出てくる、キャラメルやドロップ、新高製菓だそうで、そいいえば、子供のころ新高ドロップを舐めたことがあるような気がする。

さぁ、明日からは高樹のぶ子の「甘苦上海(がんくうしゃんはい)」の連載が始まる、期待してよいのかどうか?
どうか、朝のテンションがあげられるように。

「望郷の道」は、そのうちに単行本化されるだろうが、あらすじはこちらのサイトからも読めるので、ぜひ一読を。
http://www.nikkei.co.jp/honshi/20080730tab7u000_30.html

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