東京大学の公開講座「だます」をテーマにして15講座行われたが、その最終日にあったのが、「動物のだまし」だ。
動物は、生存や繁殖のために様々なだましを行う。
動物の体の色が、生活の場の背景に溶け込むような保護色、ヒラメやカレイなどは見下ろすと海底の砂利などと同化している。
一方見上げた場合はどうか、鳥にしろ魚にしろ、腹が白いものが多い、これはやはり、明るい背景と同化するためなのだ。
ほかに、擬態や偽傷、偽死もあるが、何と言っても「托卵」が面白い。
托卵とは、鳥類における「だまし」の一つで、卵の世話を別の鳥にしてもらうもので、代わりの親は仮親と呼ばれる。
カッコウがウグイスやヨシキリに托卵するのがよく知られている。
仮親がしっかりとカッコウの卵を温める、すると仮親の卵よりも早く孵化する。
孵化したカッコウの雛は、仮親の卵や雛を巣の外に押し出してしまう。
すると、この時点でカッコウの雛は仮親の唯一の雛となるのだ。
カッコウの雛は、仮親の育雛本能に依存して餌をもらい、成長して巣立っていくという、究極のだましなのだ。